
筋トレし始めてから風邪ひきやすくなった気がする…。
筋トレをしていると、季節の変わり目や風邪・インフルエンザが流行る時期に体調を崩しやすくなったと感じる人も多いのではないでしょうか?
僕自身、筋トレに慣れてきてハードに追い込むようになった頃から風邪をひきやすくなったり、トレーニング後に疲れが妙に抜けにくくなったりした覚えがめちゃくちゃあります。
実は、ハードなトレーニングが免疫力の低下を招くこともあるため、普段からしっかりと対策しておくことが大切なんです。
ここでは、風邪をひいたときに筋トレを続けても良いのか?という疑問を解決しつつ、風邪を予防しながら筋トレを継続するための対策を解説していきます。
- 筋トレで風邪をひきやすくなる理由
- 風邪の時に筋トレをして良いかどうかの判断基準
- 風邪や感染症の予防・免疫力アップ方法
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なぜ筋トレをしていると風邪をひきやすいのか?

なんで筋トレをすると風邪ひきやすくなるの?
本来筋トレを含め運動すること自体は健康に良いはずなのに、逆に体調を崩してしまうのは本末転倒な感じがしますよね。
実は、筋トレをしていると風邪をひきやすくなるのには理由があり、まずはそれを理解することが重要です。
ここでは、筋トレが風邪のリスクを高めるメカニズムについて解説していきます。

筋トレが引き起こす免疫力の低下
筋トレをするとターゲットとなる部位に負荷がかかり、その負担が大きくなると体は筋肉の修復を最優先にエネルギーを消費し始めます。
特に、筋肉を限界まで追い込むと筋繊維に損傷が生じますが、トレーニングがハードになるほど修復に大量のエネルギーが必要になり体内のエネルギーが免疫系の維持にまで十分に回らなくなります。

その結果、ウイルスや細菌への抵抗力が一時的に弱まります。
トレーニング後の免疫機能の変化
筋トレ後は、体が回復しようとする過程で免疫機能が一時的に低下します。

これは筋トレ直後の数時間から24時間程度、白血球の働きが弱まるためです。
特に、高強度のトレーニングを行った後は、
- リンパ球の減少(ウイルス・細菌への防御力低下)
- 炎症反応の増加(過度な疲労感の原因)
が起こり、風邪をひきやすくなったり回復が遅れたりします。
この免疫低下が長引くと通常なら数日で治る風邪でも長引いてしまい、体調を回復させるために余計な時間とエネルギーを消費することになります。
過度なストレスと疲労の蓄積が免疫力を低下させる
トレーニングの強度や頻度が過剰になると回復が追いつかなくなり、慢性的な疲労が蓄積します。

この状態を「オーバートレーニング」と呼びます。
オーバートレーニングは単なる疲労だけでなく免疫力の低下にも直結します。
その主な要因は以下の通りです。
ストレスホルモン(コルチゾール)の増加
過剰なトレーニングは体にストレスを与え続けている状態となり、コルチゾールというホルモンの分泌を増やします。
コルチゾールは本来、身体がストレスに対抗するために分泌されるホルモンですが、過剰に分泌されると免疫機能を抑制しウイルスや細菌に対する抵抗力が低下してしまいます。
特に、コルチゾールの分泌が慢性的に高まると筋肉の分解(カタボリック)が進みやすくなり、疲労回復の遅れにもつながるため、免疫力の低下だけでなく筋肉の成長にも影響があります。
睡眠の質の低下と免疫機能の低下
オーバートレーニングは自律神経系にも影響を与えます。
自律神経は交感神経(活動時に優位) と 副交感神経(リラックス時に優位) のバランスをとる役割を持っていますが、オーバートレーニングによってこのバランスが乱れると、以下のような影響が現れます。
- 寝つきが悪くなる
- 深い眠り(ノンレム睡眠)が減る
- 夜中に目が覚めやすくなる
また、睡眠中に分泌される成長ホルモンは筋肉の回復だけでなく免疫機能の強化にも関与しているため、睡眠の質が低下すると免疫細胞の修復が滞り、風邪をひきやすくなります。
さらに、睡眠不足が続くと体内時計が乱れ、免疫機能を司るホルモンの分泌リズムにも悪影響を及ぼすため、長期的に見ても風邪や体調不良を引き起こしやすくなります。
神経系の負担と慢性的な疲労の蓄積
筋トレは筋肉だけでなく神経系(中枢神経・末梢神経)にも負荷を与えるため、回復時間が不十分な状態でトレーニングを続けると神経の疲労が蓄積し、回復が追いつかなくなります。
この状態が続くと次のような影響が現れます。
- 反応速度の低下(集中力が落ちる)
- 体がだるく疲れが抜けない
- 免疫機能が低下し、風邪をひきやすくなる

特に「喉が痛い」「体がだるい」などの症状を感じたら、それは免疫低下のサインかも。
さらに、過労やストレスによって交感神経が過剰に活性化すると炎症を抑える働きが弱まり、風邪だけでなく筋肉痛の回復も遅れる可能性があります。
風邪を引いているときに筋トレをしても良いのか?

風邪をひいてる時に筋トレして良いの?
風邪をひいて体の調子がイマイチ良くない時、「筋トレをしても大丈夫?それとも休むべき?」と悩んだことがある人も多いのではないでしょうか?
基本的には無理をしないに越したことはないのですが、筋トレが習慣化している人ほど休むことに不安を感じることもありますよね。
しかし、風邪の症状によっては無理に筋トレを続けることでかえって体に負担をかけてしまうことも。
ここでは、風邪をひいた時に筋トレを続けるべきか否か?の判断基準について解説します。

症状があるのは「首から上か?下か?」で判断する
風邪をひいてしまった時に筋トレをしても良いかどうか?の判断基準の一つとして「ネックチェック(Neck Check)」 という考え方があります。
ネックチェックとは、風邪の症状が「首から上」にあるか、「首から下」に広がっているかで運動の可否を判断する方法 です。
首から上の症状だけなら軽めのトレーニングは可能
- くしゃみ、鼻水、軽い喉の痛み、鼻づまり など
これらの症状がある場合でも体全体の倦怠感がなく普段通りの生活ができる状態なら、軽めのトレーニングなら可能です。
ただし、以下を守って無理をしないように注意しましょう。
- 普段より軽めの重量や回数に調整する
- 長時間のトレーニングは避ける(免疫機能を落とさないため短時間で終える)
- 水分補給をしっかり行う(鼻水や喉の痛みで脱水しやすいため)
また、ジムを利用する場合は周囲への配慮も忘れてはいけません。
特にくしゃみや鼻水の症状があるときはマスクを着用し、器具の消毒を徹底しましょう。
首から下の症状がある場合はトレーニングNG
- 発熱、強い喉の痛み、咳、胸の痛み、倦怠感、関節痛 など
これらの症状がある場合は体がウイルスと戦っている状態のため、筋トレは避けるべきです。

特に発熱や強い倦怠感がある場合は絶対NG!
また、ウイルスや細菌感染が関与する風邪の場合、無理にトレーニングをすると肺炎や気管支炎などの合併症につながるリスクもあるので、このような症状があるときは完全に筋トレを休んで睡眠と栄養をとることに専念しましょう。
筋トレを続けるための予防法・免疫力アップ方法

風邪を引かないためにはどうすれば良いの?
風邪をひかずに質の高いトレーニングを継続するためには、日頃から免疫力を高める習慣を身につけるのが大切です。
特に風邪やインフルエンザが流行しやすい季節はちょっとした体調不良がパフォーマンス低下につながるため、普段から意識的に対策しておくことでコンディションが安定しやすくなります。
ここでは、僕自身が実践している予防策を紹介します。

基本の感染対策を徹底する(手洗い・うがい・マスク・換気)
まず、風邪やウイルス感染を防ぐには基本的な対策を習慣化することが大切です。
特に、ジムや人が多く集まる場所ではちょっとした油断が感染につながるためしっかり意識しましょう。
手洗い・うがい・消毒を習慣にする
トレーニング後や外出後は石鹸を使った手洗いを徹底し、必要に応じてアルコール消毒を活用しましょう。
特にジムでは多くの人が触れる器具を使うため、こまめな手洗いや消毒が感染リスクを下げるポイントになります。
無意識に顔を触るクセがある人は要注意。
手についたウイルスが口や鼻の粘膜から侵入しやすくなるため、できるだけ顔を触らないよう意識しましょう。
さらに、うがいを習慣化することで喉についたウイルスを除去しやすくなり、風邪の予防に効果的です。

水うがいでも一定の予防効果が期待できる!
また、手洗い・洗顔用のタオルはこまめに交換することや、ご家族と同居されている場合はタオルを共有しないことも重要です。
マスクの活用
風邪やインフルエンザが流行する時期や人が密集する場所ではマスクの着用が感染リスクの軽減に役立ちます。
特にジムなどの屋内では他の人の咳やくしゃみが気になる場面も多く、換気が十分でない場合も考えられるため、自分を守るためにも適切にマスクを活用しましょう。
マスクを選ぶ際は不織布マスクのほうが布マスクよりも高い防御効果が期待できます。
また、鼻や顎までしっかり覆うことでより効果的に感染を防げます。
ただし、トレーニング中に息苦しさを感じる場合は人との距離を確保したうえで適度に外すなど、状況に応じて使うのがオススメです。
定期的な換気と加湿を意識する
ウイルスは密閉空間に滞留しやすいため、室内では窓を開けたり換気扇を使ったりして定期的に空気を入れ替えることが重要です。
特にエアコンを使用する時期は窓を閉めっぱなしにしてしまいがちですが、1時間に1~2回程度、2ヶ所以上の窓を開けて空気の通り道を作ると効率よく換気ができます。

換気は5~10分程度でもOK!
また、適度な湿度(50~60%)を保つことでウイルスの飛散を抑える効果も期待できます。
乾燥しやすい季節は、加湿器や濡れタオルを活用して室内の湿度を調整しましょう。
質の良い睡眠と水分補給で免疫力を維持
十分な睡眠と適切な水分補給は、免疫力を保つために欠かせません。
睡眠不足が続くと体の回復が追いつかず、風邪や感染症にかかりやすくなります。
そのため、毎日6~8時間の質の良い睡眠を確保し、寝る前のスマホやカフェインの摂取を控えるなどリラックスできる環境を整えるのが理想です。
また、季節を問わずこまめな水分補給も重要です。
体内の水分が不足すると粘膜が乾燥しウイルスや細菌が侵入しやすくなるため、のどの潤いを保つためにも1日1.5~2L を目安に水分を摂取することを心がけましょう。
免疫力を高める栄養素・サプリメントを活用する
免疫機能を正常に保つためには、バランスの取れた食事と適切な栄養素の摂取が不可欠です。
特に以下の栄養素は免疫力向上に重要な役割を果たします。
ビタミンC & ビタミンE
- 抗酸化作用で免疫細胞を守る
ビタミンCは強い抗酸化作用を持ち、白血球の働きを助けることで風邪や感染症の予防に役立ちます。
また、鉄の吸収を促進し貧血予防にも効果的で、主に柑橘類やブロッコリーなどの野菜、サツマイモなどのいも類に豊富に含まれています。
ビタミンEは強力な抗酸化作用を持ち、ビタミンCと一緒に摂取することで相乗効果が期待できます。
また、ビタミンEは冷え症の改善にも効果的で、主にアーモンドなどのナッツ類、オリーブオイルなどの植物油に豊富に含まれています。
ただし、筋トレ前後の過剰摂取には要注意。
ビタミンC・Eの抗炎症作用により、筋肉の成長に必要な炎症を抑えすぎてしまう可能性があります。
トレーニング後の適応を妨げ、オーバートレーニングからの回復を遅らせる可能性があるため、筋トレ前後の過剰摂取は控え、通常の食事で適量を摂るのが理想です。

栄養素を効率よく補うにはマルチビタミンサプリの活用もオススメ!
ビタミンD3
- 免疫力の維持、筋肉の成長に貢献
ビタミンD3は免疫機能を調整し、アレルギー予防や骨の健康維持に関与します。
また、筋肉の合成にも関わり、筋力の維持や疲労回復にも非常に重要な栄養素です。
通常、日光を浴びることにより体内で合成されますが、現代の生活では日光を浴びる機会が減少しているため食事やサプリメントでの補充が推奨されています。
ビタミンD3は脂溶性なので、食事の後やフィッシュオイルサプリと一緒に摂るのも効果的です。

筋トレの質を保ち疲労回復をサポートするためにも、ビタミンD3は欠かせません!

亜鉛
- 免疫細胞の働きをサポート
亜鉛は免疫力を維持し、ウイルスや細菌への抵抗力を高めます。
亜鉛が不足すると免疫力の低下だけでなく、傷の治りが遅くなったり味覚・嗅覚の異常、肌荒れ、脱毛などの症状が現れることがあり、身体の健康にとって非常に重要な栄養素です。

毎日の食事でこまめに摂取しよう!
亜鉛は体内に蓄積されにくいため、こまめな摂取が大切です。
特にトレーニングを積極的に行っている場合、亜鉛を意識的に摂取することが免疫力の維持や回復をサポートします。
ただし、過剰摂取は吐き気や胃の不調を引き起こすことがあるため、サプリメントを利用する際は1日40mgを超えないよう注意しましょう。
プロバイオティクス
- 腸内のバランスを整え免疫機能を向上
プロバイオティクスは腸内に住む善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌など)で、免疫系の働きをサポートする重要な役割を果たしています。
腸内は免疫系の約7割を担っていると言われていて、腸内環境を整えることが免疫力向上に直結し風邪やインフルエンザなどの感染症に対する抵抗力を強化します。

腸内フローラのバランスが重要!
腸内には多くの細菌が住んでおり、その集合体である腸内フローラのバランスが非常に重要です。
特に善玉菌が活発に働くことで免疫細胞が活性化し、外部からのウイルスや細菌に対して強力に反応できるようになります。
グルタミン
- 筋トレ後の回復と日々の免疫サポート
グルタミンは体内で最も多く存在するアミノ酸の一種で、筋トレ後に消耗した筋肉の修復を促進するだけでなく、免疫機能の維持にも大きく関与しています。
特に、激しいトレーニングによる免疫力の低下を防ぎ、感染症の予防に役立つことがわかっています。
また、オーバートレーニングをはじめとする身体への過度なストレスから守る働きもあります。
過剰なトレーニングや精神的なストレスは体内のグルタミンを消耗させ、免疫機能の低下を引き起こす原因に。
グルタミンを適切に補充することで免疫機能をサポートし、トレーニング後の回復を促進します。

プロバイオティクスと同様に、腸内環境の健康維持にも貢献!
プロバイオティクスが腸内フローラのバランスを整えるのに対し、グルタミンは腸の細胞そのものを修復し腸内環境を健全に保つ役割を果たします。
これにより、免疫力の向上や消化機能のサポートにもつながります。

まとめ「しっかり対策をすれば風邪をひきにくくなる」
僕自身、学生の頃から体調を崩しやすく、マラソン大会などハードな運動のあとは高確率で風邪を引いていた記憶があり、「こういう体質なんだな…」と諦めていました。
そして、ガリガリだった体型を改善したくて筋トレを始め、どんどん追い込むと案の定風邪をひきやすい日々が続きました。
しかし、ある時「ボディビルダーは風邪を引きやすい」という話を聞き、ここに何かヒントがあるかもしれないと思い調べた結果、これが大正解。
免疫を維持するために必要な栄養素や自分でできる予防・対策があることを知り、自分ではちゃんとできていたつもりでも、手洗いすら正しくできていなかったことを痛感し、若干の後悔すら感じています(笑)
もし風邪を引きやすい体質の方や、しっかり食事を取っているのに体重が増えないと悩んでいる痩せ型の方がいれば、免疫力や腸内環境のバランスが崩れ、栄養をうまく吸収できていない状態なのかも知れません。
もちろん、これらの対策を継続していく必要はありますが、ぜひ免疫アップの対策として取り入れてみていただければ幸いです。